明るい夜に出かけて。

以前アメトーークで紹介されてからずっと読みたかったが、ハードカバーは高くて手が出せていなかった本。やっと手にすることができ、そして一瞬で読み終えた。まずは概要。

 

佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』

富山は、ある事件がもとで心を閉ざし、大学を休学して海の側の街でコンビニバイトをしながら一人暮らしを始めた。バイトリーダーでネットの「歌い手」の鹿沢、同じラジオ好きの風変わりな少女佐古田、ワケありの旧友永川と交流するうちに、色を失った世界が蘇っていく。実在の深夜ラジオ番組を織り込み、世の中で彷徨う若者たちの孤独と繋がりを暖かく描いた青春小説の傑作。山田周五郎賞受賞作。

 

 この小説バカおもれえ!(酒井風)

 

アルコ&ピースオールナイトニッポン』が色濃く物語に反映されていて、読み進めていくとアルピー、平子っち、酒井、SND、爆笑問題バカリズムなどなど深夜ラジオを聴いている人にとっては耳に覚えのある言葉が全体に散らばっており、見つけるたび嬉しくなった。

 

自分が当時アルピーのANNを聴いていなかったのが惜しいくらい登場人物のリスナーならではの濃いトークが羨ましすぎるし、今リアルでラジオネタで盛り上がれる友人がいないのでバカ嫉妬した。特にハガキ職人ならではの友情や団結ってのをまざまざと見せつけられて自分も職人として活躍したい欲が出てきてしまったのでぼちぼちネタメールを投稿していきたいと思う。

 

さてさて、内容に関しては流石に登場人物が深夜ラジオを聴いているだけあって共通点が多く、共感できる部分も多かった。さらに、青春小説×深夜ラジオがピタッとハマっていて、物語に現実味がある。今までの青春小説とは一線を画すようなラジオという軸をもったことで、ラジオリスナーからしたらたまらない内容であり、またラジオを聴いたことのない読者にとってもラジオという身近であるものに手を出してみるいい契機になるのではないだろうか。

 

ラジオはパーソナリティーとリスナーだけでなく、リスナー同志も繋げる。この小説はラジオリスナーに小説の魅力を、読書好きにはラジオの魅力を存分に感じさせる。そして、いままであまり相まみえてこなかったラジオと小説というものを結び付けることになっただろう。それがこの小説の大きな功績であるといても過言ではない。

 

ちなみに、わたしは今radikoで作中にも度々登場する「伊集院光深夜の馬鹿力」を聴いてクスクスしながら、パソコンでブログを書いている。この瞬間が最高に心地いい。

 

深夜ラジオは最高だ。